Flit Department of Flipped Learning Technologies 東京大学大学院情報学環・反転学習社会連携講座

2016. 7. 3 開催

第5回 公開研究会

学生の学びは変わるか?反転学習のここまで、ここから

山内祐平 FLIT Seminar

小講演2
ブレンド型学習と反転授業の今後

山内祐平 FLIT Seminar

山内祐平
東京大学/教授

従来、知識習得は教室環境での授業でやるという前提があって、応用的な課題は宿題として自宅でやらせるという方法が取られてきました。その際に一人だと課題ができない生徒が出てくるといった問題点はもともとわかっていたのですが、授業時間の都合上、授業外に追い出されていました。しかし、社会の変化の中で応用が大事ということになってきたのであれば、応用の方を授業でやろうという発想になってきました。
とは言っても、応用すべき知識の習得も変わらず大事という中で、知識習得をオンラインという形で外に出す環境が整ってきました。なので、知識習得をオンラインでやろうとするようになってきたという見方ができます。
そこで私からは、ブレンド型学習と反転授業の今後について、話をさせていただければと思います。

ブレンド型学習としての反転学習

ブレンド型学習というのは対面とオンラインを組み合わせた学習形態のことです。実際そのような組み合わせをした方が、対面だけ、オンラインだけといった学習形態よりも効果が高いことが数々の研究や実践で明らかになってきています。2008年ぐらいから反転授業が出てきたわけですが、これはブレンド型学習の一形態としてうまくパッケージ化されたものとして見ることができます。
ブレンド型学習のポイントとして3つの要素があります。

  • 社会的存在感:他の生徒と一緒に学習しているとか、先生が教えてくれているといった存在感を感じられること。
  • 教授的存在感:先生が教えるに当たって工夫をしているところなどが可視化されてわかること。
  • 認知的存在感:生徒が認知的に躓きやすいところに配慮することができること。

この観点から反転授業を見ると、認知的存在感と教授的存在感の基盤部分は、オンラインに移すことで学習時間が確保でき、かつ学習の個別化を実現することができるということになります。さらに、認知的存在感と教授的存在感の応用部分と社会的存在感は対面で確保することができるというような形で、ブレンド型学習として優れたパッケージと捉えることができるのです。なので、実際に反転授業をすると落第率が下がるといったような効果が出ているのです。

山内祐平 FLIT Seminar

反転授業の今後

最後に反転授業の今後として、4つのことをお話ししたいと思います。

(1)普及させるにあたって
反転授業には完全習得学習型と高次能力育成型と2つのタイプがありますが、完全習得型の反転授業は成果を上げるのに手堅いパッケージであり、次に進む礎となります。反転授業の普及を考えると、まずこちらから始めるのが大事かなと思います。

(2)成績中位層に対して
完全習得学習型は成績下位層を引き上げるのに効果があり、高次能力育成型は成績上位層に向けて効果が発揮されているものが多いという中で、一番大きい割合を占める成績中位層の高次能力育成が課題として一つ挙げられます。現在FLITではこれに取り組んでいて、歴史学習に関する反転授業を、関心を持たせる導入と歴史学の方法論からより深く検討する内容とを2層組み合わせるという手法で実践を行っています。

(3)反転以外のブレンド型学習の展開
ブレンド型学習というのは反転以外にもありますし、その組み合わせ方も色々あります。現在FLITでも統計学習において、PFLモデルと反転授業を組み合わせた手法の実践プロジェクトを考えおります。つまり、抱えている生徒や学習目標などに合わせて、様々な手法を組み替えて色々なやり方が開発されると思います。

(4)カリキュラム自体の再編
MOOCと通学を組み合わせたMITの新コースのように、今後は対面とオンラインをうまく使い、カリキュラムや学位までダイナミックに組み替えることが世界中で起きていくと思われます。

まとめになりますが、反転授業は教育方法の一つで、生み出されてきた経緯そのものがイノベーションの連鎖でした。なので、正しい反転学習ということは考えないほうが良くて、ブレンド型学習の一つとして緩やかに位置付けた上で、何が大事かを明確にして自らの目的のために、いろいろなツールをどう使うかを考えれば良いと思います。

山内祐平 FLIT Seminar